歯周病の治療は、患者さんの協力があって初めて成り立ちます!
なぜなら、歯周病の治療には原因因子であるプラーク(バイオフィルム)の除去が重要で、プラークの除去には患者さん自身で行うセルフケアが最優先事項になるからです。
ずいぶん前の研究になりますが、実験でブラッシングの効果が判明しています。プラークはブラッシング中断後3日目から増え続け、5日目には歯肉炎が発症、7日目ごろから歯周病原性の強い菌が出現してきます。しかしブラッシングを再開すると、プラークおよび歯肉の状態は改善していきます。
特に歯肉の上の部分(歯肉縁上)のプラークは、毎食後のセルフケアが重要になってくるのです。
ただ歯周ポケットが深くなってしまっている場合に溜まってしまう歯肉の下の部分(歯肉縁下)のプラークや、こびりついた歯石はセルフケアでは除去できません。この部分は、プロケアでの除去が必要です。
プラーク除去を難しくさせる原因がある場合は、そちらの対応も行います。例えば、古くなり合わなくなっている被せものがある場合は作り直しが必要になることもありますし、歯周病が進行し歯の揺れが強く磨きにくい場合は、固定をしたり、状況によっては抜歯をする必要が出てくることもあります。
またプラークコントロールの確立と並行して、糖尿病等の歯周病に悪影響を及ぼす疾患がある場合は医科との連携をとったり、禁煙や生活習慣の改善が必要な場合もあります。またブラキシズムのような悪習癖に対しても処置を行います。
それでも歯周ポケットが改善しない等の場合は、歯周外科処置を行い、ポケットを浅くしたり、骨の再生を行います。
ただし、歯周外科処置が適応とならない場合や、外科処置を行ってもよい結果が得られない場合もあります。
また歯周病の治療では、健康を回復した歯周組織の状態を維持し再発を防ぐことも大切で、そのためにも定期検診でのチェックが重要です。
歯周ポケットが改善され、歯肉からの出血も治まっていれば、ひとまずは「治癒」もしくは「安定した」と言えますが、3~4か月程度の間隔での定期検診を行い、その際に病状の確認を行います。(診査項目については以前のブログ(歯周病にご用心③)をご参照ください)その際にセルフケアの確認と、プロケアによるクリーニングも併せて行っていきます。
セルフケアだけを頑張っても、歯医者さんに通ってプロケアのみを行っても歯周治療の効果はでにくいです。セルフケアとプロケアの2本柱で、歯周病治療を行いましょう!